過去の犯歴を公表することはOK?
日々テレビやニュースサイト週刊誌では様々な犯罪の報道がなされていますが、誰々が罪を犯した、という事実を公表することは、厳密に言えば「プライバシーを侵害する行為」です。それにも関わらず、連日犯罪報道がされているということはどういうことなのでしょうか。
そもそもプライバシー侵害とは
プライバシー情報とは、その内容だけで個人を特定できる情報を指します。
たとえば、「フルネーム+住所」や「フルネーム+所属先」など、名前と何かの情報がセットになったときに成立することが多くあります。
インターネットが普及したことにより、以前と比べるとプライバシー情報については多様化する側面もあります。その事例の1つがメールアドレスです。
企業のメールアドレスの多くは「tanakatarou@cyber-connect.info」というように「人物名@企業のドメイン」となっています。そのため、所属先と人物名がセットになっている、と判断されて、プライバシーの侵害だ、という認識された事例もあります。
そのように知らず知らずのうちに破ってしまいがちな他人のプライバシーですが、罪を犯してしまった人に対しても、もちろん守られるべきプライバシーが存在します。
過去の犯歴を公表することはNG
基本的に過去の犯歴を公表することはプライバシーの侵害にあたります。
プライバシー情報の原則で考えてみても、「犯罪歴+フルネーム」というように個人を特定できる情報がセットになるため、それを公表することは個人の権利を侵害してしまうことになります。
しかし、ニュースやメディアサイト、週刊誌では連日犯罪が発生したという情報を発信しており、報道された時点では、その事件が発生した場所や犯人の職業、年齢、フルネーム、顔写真が公開されています。これはプライバシーの侵害にならないのでしょうか。
犯罪が発生した瞬間はOK。その後は…?
犯罪報道には特別なルールがあります。
ニュースはその情報を多くの人が知るべき、情報価値の高い内容があります。この情報価値の高さは「公益性」と呼ばれています。
犯罪が発生した直後は、多くの人に「犯罪が発生した」という注意喚起や同様の事件が身近で起きてないかを思い出させる必要があるため、その事件概要の公益性が高いと判断されて、ニュースやメディアサイトを通じて犯罪報道が周知されます。
しかし、この公益性という指標は永続的なものではありません。
よほど重大な犯罪でもない限りは、ほどなくして公益性はなくなりますが、ここで重要なポイントがあります。
公益性は明確な基準がない
公益性についての重要なポイントは「どこかに根拠のある基準があるわけではない」ということです。
公益性というのは、法律で定められているものではなく、報道機関やメディアの自主規制のようなニュアンスが非常に強いです。
また、公益性の判断基準についても公開されているわけではないため、どのタイミングで公益性がなくなるのかは明確ではありません。
犯罪報道はいつプライバシーで保護される?
公益性の観点から、犯罪発生の直後は氏名やその他の情報が公開されるのは分かりましたが、それではいつ「公開されていい情報」から「守られるべき情報」になるのでしょうか。
1つ明確に決まっているのは「その犯罪に関しての結論が出たあと」です。
犯罪の結論というのは、罰金刑であれば支払うべきお金が確定したあと、懲役刑であれば刑期が定められたあとです。
多くの人は、罪を犯してしまったあとにも生活が続きます。そしてその人たちは、心を入れ替えて新しい生活を始めますが、そのときに問題になりがちなのが、インターネット上に残っている過去に自分が犯した事件の記事です。
特に近年で問題になるのが、自身の名前を調べた時に過去の犯歴が公開されていることにより再就職ができない、というご相談です。
経歴を調べるのはインターネットが当たり前になっているため、事件を起こしてしまった人にとってはここが大きな壁になります。
しかし、インターネットの情報であっても、犯罪の報道は結論が出て、自身が自由になったあとではプライバシーで守られるべき情報です。適切に対処を行なって、自身を守ることがなによりも重要です。
まとめ
プライバシー情報は基本的にそのほとんどが適切に守られるべき情報です。
近年では、SNSが発達した影響で、気軽に自身のフルネームや住んでいる場所、連絡先を公開している人も多いですが、無防備に情報を公開することは危険が伴います。
また、犯罪者であった人も刑期を終えれば普通の生活が待っています。その普通の生活を送ることを支援するのが当社の業務の一環です。
自分の名前を調べてみたときに検索結果になにか問題があった際は、ぜひ当社にお問い合わせください。
2020.01.23
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